はじめに
トレンドを捉えているのに、安い良いものになぜ売れない
アパレル小売業でマーチャンダイザー(以下MD)をしていた頃、私はこの疑問に何度もぶつかりました。この経験は、今の私の中小企業診断士としての視点に大きな影響を与えています。
今回はその時の体験から学んだ、”顧客視点を持つ大切さ”についてお話しします。
売上が伸びず焦る日々
「先週も未達か……」
数字を見て、頭を抱える日々。自信を持って送り出した商品が、思うように動かない。
安い価格・販促などやれることは全てりましたが結果は思うように出ませんでした。
商品ばかり見ていた自分

価格、機能性、トレンドなど「商品」についてしか考えておらず、当時の私は「消費者」には関心が向いていなかったのです。
転機となった“販売スタッフのひとこと”
ある日、店舗スタッフの一言が胸に刺さりました。
この服って、誰に着てほしいのか、ちょっと分かりづらいんですよね
ハッとしました。
私たちは、「どんな商品を作るか」ばかり考えていて、「誰に、どんな価値を届けたいのか」を考えていなかったのです。
視点を変え、現場に立った

私は週に一度は、実際に店舗へ足を運び販売現場に立つようにしていました。
それまでは毎回目的を持って行ってはいたのですが、お客様の様子、接客の流れ、商品の手に取られ方、買わずに戻された理由の「顧客視点」で徹底的に情報収集することを目的に加えました。
すると、ひとつひとつが新鮮な気づきになりました。
結果として、誰のために商品を作っているのかを改めて確認することが出来るようになり、企画した商品についての販促の方向性も揃い始めました。すると数字にも、少しずつ改善が見えました。
誰に売るのかを明確にする
アパレル業界に限らず、マーケティング活動を進めていく上で誰に売るのかは非常に大切なことです。商品やサービスの企画・開発などに関わっていると、どうしても何を売るのかが先行してしてしまいがちです。
私が経験したようなことは、一つの例に過ぎませんが似たような経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

まず第一に誰に売るのかを考えて、ターゲットを確実に設定すること。
次のステップでようやく消費者へ価値提供する何をの部分を考えて商品・サービスの企画・開発へと進む。
この順番で必ず実行することが非常に重要なのです。
どんなに優れた商品・サービスも誰に向けているのか明確でなければならないということです。
まとめ
「顧客視点」はマーケティング活動を行って行く上で非常に重要です。
自社の商品・サービスが思うように売れないときこそ、原点に立ち返りましょう。
- 誰に届けたいのか?
- どんな価値を感じてほしいのか?
- その価値は、顧客の“今”と合っているか?
この問いに真剣に向き合うことで、売上への効果は変わってくるのではないでしょうか。
あとがき
私は今、中小企業診断士として企業支援に携わっていくなかで、このアパレルMD時代の経験が最も実践的な教科書になっています。
今悩んでいる皆様へのヒントに、少しでもなれば幸いです。
次回は「誰に売るのか」についてもう少し深掘りしてお話しをしていきたいと思います。