市場ポジション設定:競合分析を活用した具体的手法

マーケティング

こんにちは!前回の投稿ではターゲットの絞り込みについてお話しをしました。ターゲットの優先順位をつけて、社内のリソースを効率的に活用するという内容でした。今回はそのターゲット市場で、どうポジションを設定していくかについてお話しをしたいと思います。

市場ポジション設定とは?

市場ポジション設定とは、自社の製品やサービスを市場の中でどのように位置づけるかを決定することです。

競合との差別化を図り、顧客の心に強く印象づけるための戦略です。特に競合分析を取り入れることで、自社の立ち位置をより明確にすることができます。

経験談として前回の投稿でご紹介したとおり、「20代後半〜30代の小学校入学前の保育園や幼稚園に通う子供がいる働く女性」をターゲット層として設定していました。同様な層をターゲットとしている競合ブランドは当時多くあり、それらとの差別化をどのようにしていくのかが重要だったのです。

今回はブランド全体の話しではなく、市場へと新たに投入する商品企画のポジショニングに焦点を当てていきたいと思います。

ステップ1:競合の調査とポジショニングの明確化

女性が通勤時にも着用できるような、キチンとした感がある「スラックパンツ」を商品例として進めていきます。競合を調査する手順としては下記のようなものが挙げられます。

競合リストの作成

  • 同一ターゲット層を狙うブランドをリストアップ
  • 例:「働く母親向けのアパレルブランド」

ポジショニングマップの作成(商品)

  • 縦軸:機能性(低~高い)
  • 横軸:価格帯(低~高)
  • 各ブランドのポジションを視覚化し、ギャップを発見する。
  • 例:競合Aは低価格×機能なし、競合Bは高価格×複数機能あり、自社は中価格×機能性とデザインの両立

ここでポイントとなるのがポジショニングマップの縦軸と横軸にどんな項目を置くかが重要となります。この例の場合は他にデザイン性、サイズバリエーションなど思いつく限り、いろいろなパターンを試してみて、より合う項目を設定するのがよいでしょう。

ステップ2:差別化ポイントの詳細な洗い出し

2つめのステップとしては、差別化のポイントを詳細に洗い出して、何が顧客にとっての価値になるかを構築していくステップです。

整理ツールとしてSWOT分析を活用

  • 強み:ターゲット層の多い地域に店舗立地、多機能・高品質、機能性商品の品揃え多数の認知度
  • 弱み:価格競争での耐性不足
  • 機会:働く女性の割合が増加傾向
  • 脅威:高機能であり低価格帯のブランドの台頭

競合製品との徹底比較

  • 価格設定:競合Aは3,000円、競合Bは5,000円、その他も総じてこの2つの価格帯の範囲がほとんど
  • 素材:競合Aはポリエステル主体、競合B社はコットン混紡で肌触り重視
  • 機能:競合A社はシワになりにくいノンアイロン、競合B社は汚れがつきにくい防汚加工、競合C社は洗濯後に乾き易い速乾タイプ
  • サイズ、色の展開:サイズはワンサイズ、3サイズといろいろなパターンあり、色展開は10色程バリエーションをもって展開しているところが多い

SWOT分析、競合の商品比較が済んだところで差別化ポイントの具体例を挙げて行きます。

  • 機能面は2つから3つと多機能にする
  • 通勤と休日の両方で使えるようなシンプルなデザイン
  • 色展開の多さではなく、色味(濃度、彩度など調整し絶妙なバランスに)を重視する

ステップ3:ターゲットへの訴求内容の構築

ステップ1、ステップ2の内容を踏まえて、この段階ではターゲット層への訴求内容(メッセージ)の構築を下記例のように行っていきます。

基本構成

  • ターゲット顧客:働く母親層(20代後半〜30代)
  • メッセージの核:「忙しい朝もおしゃれに時短」
  • 製品の特徴:洗える、乾きやすい、シワになりにくい、着用しやすい(伸縮性あり)

作成

  • 顧客の課題を抽出:「時間がない」「手入れが簡単」「着る場面を選ばない」
  • 製品特徴との結びつけ:「イ―ジーケア」「着心地がよい」

構成化

  • 独自の売り:「忙しくてもおしゃれに、時短ファッション」
  • エモーショナルアピール:「子供と過ごす朝も、オフィスでの商談も、この一着で。」

具体例

  • 洗濯機で洗える、ほした後でもシワになりにくい、お手入れ簡単キレイめパンツ
  • 忙しくても、子供との時間、大切なプレゼンや商談、どんな場面でもキチンと見えるシルエットにこだわったパンツ

まとめ

市場ポジション設定は、競合分析を通じて自社の立ち位置を明確にし、差別化ポイントを構築するプロセスです。競合の強みと弱みを洗い出し、自社が提供できる価値を強調することが重要です。今回の例でいうと、「洗濯機で洗える」や「シワになりにくい」のようにな機能性と、「シルエットこだわった」などのデザイン性を両立させることで、忙しい生活を送る顧客層に強く訴求できます。

競合の動向を常に把握しつつ、自社のポジションを再確認し、顧客ニーズの変化に応じた訴求内容の調整も欠かせません。市場ポジション設定は一度決めて終わりではなく、顧客の声や市場の変化を取り入れながらブラッシュアップしていくことが大切になってくるのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回は、いよいよマーケティング戦略についてのお話しをしていきたいと思います。